仙人とはいえ、リフォーム業界で100年も、1,000年も生きてきたわけではない。
少なくともリフォーム業がこれほど注目を浴びる前から,リフォーム業を起こし、自ら第一線に立ってリフォーム業を引張ってきた経験者としての実績が、誰言うともなくリフォーム仙人と言う呼び名になりこのページではその字を使うこととする
リフォーム仙人への質問は下記までお願いします
   rbk.senin@reform-hiroba.com
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11月14日更新

特別企画「住宅ジャーナル10月号」 掲載記事第3回
     建設業の新しい枠組みを考える時代の到来!

 強いはずの工務店がリフォーム事業において、苦戦している理由の1つには、リフォームセンスの欠如と、何よりも営業面の弱さではないかと思う。

 リフォームセンスの欠如は、消費者からリフォーム工事の申込を受けた後、受注契約を締結するために必要なことであり、消費者からリフォーム工事の申込を受けた後の作業であるが、営業面の弱さはリフォーム工事の申込さえとれないのであるから問題としては大きい。
 工務店として少しでも多くの顧客を持ちなさいということを8月号で申し上げました。
 自社の顧客に関しての管理であるが、工務店の場合、取引済み顧客が、1人1人ずつ名簿化されて管理されていない場合が多い。ひどい工務店では、顧客名簿は社長の頭の中にある場合がある。
 自社の市場を案内していただくと、ここの家は当社のお客様です。ここの家のそうです。といった説明を受けるので、会社に帰って、顧客名簿を見せてくださいとお願いすると、顧客の名前と住所が描いてあるノートが出て来たりする、何時、どのようなリフォーム工事を受注したのか、何回受注したのか、住宅はどのような構造の住宅で、何時頃建築されたのかといったデーターはない。これでは顧客管理とは言えない。
 顧客1人1人ごとに住宅のデーターを作り、その上で自社を中心とした顧客マップを作ってみる事である。自社の顧客がどの地域にどのように分布しているかが良くわかる。それを参考にして、効果的な顧客廻りをしてみることが大切である。

  つづく

10月17日更新

特別企画「住宅ジャーナル10月号」 掲載記事第2回
     建設業の新しい枠組みを考える時代の到来!
 まず工務店であるが、工務店は価格の面においては、相対比較において低い。
しかも工務店は建築業を長く続けてきており、住宅の建設は専門家である。
 専門家であるということは、工事の品質、職人の質、アフターサービスも相対比較において良いはずで、4つのリフォーム工事会社の中では一番消費者の期待に応えられるリフォーム会社である。
 難点はといえば、工事は確かに丈夫でしっかりしているが、センスに欠けるところがあるという点ではないだろうか。
 リフォーム雑誌や最近はやりのテレビのリフォーム番組を見ても、リフォーム工事で工事後の見映えがいいのは、工務店がリフォーム会社として、消費者から元請けで、リフォーム工事を受注した事例はほとんど見受けられない。

 何が工務店に不足しているのか。それはリフォームセンスとも言うべき点ではにだろうか。
 大手リフォーム会社のところを見ていただきたい。大手リフォーム会社と呼ばれる会社は、世間に知られたブランドを持ったリフォーム会社で、そのほとんどは大手のブランドを持った会社の関連会社や、子会社である。
 大手リフォーム会社の泣き所は、会社の管理費、人件費、経費が相対的に高額な点にある。そのためリフォーム工事の見積金額はどうしても、工務店などと比較されると高額になってしまう。
 しかしインテリアセンス、空間利用、リフォームセンスは軍を抜いて優れている。従って大手リフォーム会社は価格競争ではなく、リフォームのセンス(これも質か)で消費者から評価を受けて、その存在感を示している。
 
 次に反響チラシと呼ばれる、販促手段を用いて、リフォーム実績を残している一団がいる。
 この集団は一様にリフォーム部位ごとの工事金額をチラシ一面に表示して、顧客から注文を受けている会社が主力の一団で、勿論工務店の会社もいれば、営業主体の会社、異業種からの参入会社と色々である。
 低価格を訴えリフォーム市場に参入したことは、デフレ経済の市場において、リフォームも価格の点で、今までのような価格体系、受注組織、生産組織では適合できなくなっていることを、思い知らせる点において、それなりの警鐘効果はあった。
 しかし現実はそう高邁なものではなく、建築の経験者ではない営業担当者が、営業活動から受注契約、工事まで一貫して担当いているシステムが多く、品質管理面はお寒い限りの状態である。
 リフォーム業は建築業で、受注活動も大切だが、受注したリフォーム工事を、完成して始めて請負契約金額を全額受領できるのであって、営業だけでは業は成り立たないはずである。
 ここに建築業の仕組みの弱点がある。工事は外注で行うのが一般的であるという点である。営業力さえあれば、あとの工事はどうにかなるさという考えの会社もあり、工事面の軽視という消費者にとって迷惑なリフォーム会社の存在となる。
 反響チラシを行っている会社は、品質の点でいかに良質を確保しているかということを、世間にアピールしなくては、やがて世間に相手にされなくなる存在になってしまう。
 工務店の中には反響チラシのうわさを聞いて、形だけ真似たチラシを作って営業をしているところもあるが、形だけ真似ても心は真似られず、成果を出している工務店はほとんどない。
 価格の低さに、工事面の質の確保が反響チラシの会社には課題である。

 最後に訪問販売会社の存在である。この図では訪問販売会社が、全て悪いように思えるかも知れないが、決してそう言うことではなく、相対比較の点でリフォーム業における訪問販売会社の位置付けはここに置かざるを得ない、リフォームに関して(財)リフォーム・紛争処理支援センターによると、消費者からの相談事で、一番多いのが訪問販売の会社であることも事実であり、これらの訪問販売会社は価格も高く、質も悪いと言うことで世間の評価は一致している。
 真面目な訪問販売会社にとっては迷惑なことではあると思うが、それならば真面目な訪問販売会社があるという事を、訪問販売会社集団でアピールするなどの行動が必要なのではないか。

 ともあれここで説明したいことは、工務店向きの原稿であるから、工務店のリフォーム業における位置付けを、しっかり理解していただきたいという事である。リフォーム業において強いのは工務店であるということを申しあげたいのである。

9月16日更新

特別企画「住宅ジャーナル10月号」掲載記事第1回
     建設業の新しい枠組みを考える時代の到来!
2001年1月号の住宅ジャーナルの記事を書かせていただいた折、リフォーム業のこれからについて、リフォーム業は専業化すると書いた。
 その根拠は、あまりにも過当過ぎる企業参入により、リフォーム業の真の姿が見えないからである。そのため、消費者からのアンケートのいつも上位に「どこのリフォーム会社に工事を依頼したらいいか迷う」というリフォーム会社選択の悩みが寄せられている。
 
 この状態を解決するのがリフォーム業の専業化である。専業化ということは、リフォームを業とする会社が、何を持って業とするかを明確にするかという事である。
 どこのリフォーム会社も「リフォームなら何でも扱います」といっても、消費者のほうでは何でも出来るという根拠は何なのかという疑問を持つようになる。それよりも「当社は塗装業を長く営業してきましたから、塗装のことでしたら良質で適正価格です」といったほうが消費者に信頼感を得易い。
 消費者の希望としては「良質で安い」リフォームが出来ないかという希望が多い。今年の8月4日、住宅金融公庫の消費者を対象とした安心リフォームの場において「良質で安い」リフォームは基本的にはないと思ったほうがいいのではないかということを話した。
 建設業の仕組み、外から見だけでは分りにくい建設会社の種別、下請組織による生産等を話し、基本的には「良質で安い」リフォームを依頼することが一般消費者には難しいことを説明した。その中でリフォーム業の解説をした時、使用したのが図1である。少々説明を加えるがこの図は縦軸に価格の高低をとり、横軸に品質の軸をとったものである。
 
 品質とは当然のことであるが、リフォーム工事によって作られて、消費者に引渡されるリフォーム後の工事成果品と、リフォーム工事に係わる営業から工事に至る人間の質、それにアフターサービスの3つを含んでいる。消費者は3社から5社前後のリフォーム会社から、リフォーム工事の見積書を徴収する。その結果見積金額を比較して、高い安いの比較は誰でもすぐに判断がつく。しかしリフォームの見積は、これから工事に要する費用(極論すればこれから作り上げるリフォーム工事の成果品を作り上げるために要する費用)と、リフォームに携わる人の質、それとアフターサービスを含めたものを表したものが見積書であって、低い見積はリフォームにかかわる品質が、それ相当であると思わなければならない。
 
 これは一般論の話しで、例外はある。粗利益を何%に設定するかによって、同じ会社でも見積り金額は違ってくる。良質のうち、何を持って品質面の良質というのかを考えると定義は難しい。しかし図1のような傾向は説明できる。この図では工務店、大手リフォーム会社、反響チラシ、訪問販売会社をそれぞれの象限に配置するとこの様になる。
・・・・・(つづく)

2月5日更新

特別企画「住宅ジャーナル8月号」掲載記事
    頑張れ中小工務店のリフォーム作戦・
     「当社のお客様は当社がお護りする!」・第4回
 業態の変化が正式なリフォーム業への参入である。正式なと表現した理由は今までも工務店であるならば、リフォーム工事の1つや2つは年間に行ってきたはずである。
 ただリフォームはついでの業であり、主たる業ではなかった。しかし現状においてリフォーム業をついでの業と考える工務店は少ないはずである。
 建設業は新しい時代を迎えなければならない。新しい時代とはリフォームを主業務と考える時代と思って差し支えないと思う。リフォームが主業務として社会的に評価されるようになって、新築業、リフォーム業という区分けが行なわれるようになり、新築業、リフォーム業が併存する時代となった。


 リフォームするか、建替えるか迷われるお客様は多い。現在の景気低迷の状態では、新築に踏み切るには余程の蓄えが必要である。ローン金利が安いとはいいながら借金してまで新築をする勇気は今の消費者にはない。借金をしないですむリフォームを選択される方は多い。(リフォームのお客様で銀行のローンを利用するケースが少ない。せいぜい住宅金融公庫の利用どまりが多い)
 住人の経済状況にもよるが、1軒の住宅が新築されて建替えられるまでの間(約30年)に、リフォームにかける費用は馬鹿にならない。
 住宅の各部位のうちで考えると畳替え、ペンキの塗替え、設備の故障・取替、インテリア用品の取替、屋根の葺替え、外構のやり変え、造園の手入れ・改造、カーポートのやり変え、内装のやり変え、改造、増改築等々住宅に関する費用投下は30年間に500万円から1千万円、1,500万円にも及ぶ。これらの費用投下の受け皿がリフォーム業なのだから1軒の住宅のリフォームを一手に取扱ったら大きな商売となる。
 こうしたお客様を50軒100軒と持てばこのお客様からの注文だけで工務店業は成り立つ。

 新しいお客様を追いかけて注文を取ってきた時代から、今までのお客様に対するサービスの提供をしつづけることが今や大切なのである。
 「当社のお客様は当社がお護りする」ということは会社の業の安定にとって大切なことである。中元に100軒のお客様を訪問する会社に是非なっていただきたいものである。
 そんなに急にお客様なんて増えないよという声も聞こえてくる。増えるか増えないかが工務店の営業方針にかかっているのではないだろうか。
 お客様がいないのであればお客様づくりに専念するのである。「損して得を取るユダヤの商法」という言葉を前に聞いたことがある。
 まず最初はお客様に受け入れられるような行動が必要である。「毎月10日は1,000円ポッキリリフォームデー」とか銘打って小工事のサービス提供をして顧客づくりをすることも考えたら良い。
 また最近のリフォーム業界の悪質訪問販売業者から、地域の工務店として地域の顧客が被害にあわないようにお護りする地域のリフォーム会社としてキャンペーンをしたら良い。今回のテーマ「当社のお客様は当社がお護りする」ということにも関連する。1社だけで心配であるならば何社か協力してキャンペーンを実行したら良い。

 
町場の工務店さんはPRが下手である。昔の「出入りの大工」に戻るのである。
 ただ昔と違うところは情報量の多さである。お客様の情報量が遥かに多いということが見かけられる。又インテリア感覚が重視されてもいる。こうした情報の取得のために各メーカーはショールームを構えて新商品紹介をしているし、カタログも多くある。また建築関連の商社、問屋さんが定期的に展示会を開催するケースも多くある。こうした折には足を運び新商品情報を仕入れる努力をしてほしい。
 又インテリア感覚を養うことも必要である。先の丸長産業の実践リフォーム大学ではインテリアパースの描き方の勉強もするが、出席者は一生懸命勉強して、「ああ疲れた。」といいながら始めて書いた我パースに感心を寄せている。「折角覚えたのですから応用してください。きっと大きなリフォームが受注できますから」といっている。「パースで受注が取れました」という朗報を期待しながら工務店にエールを送る次第です。
(おわり)

1月15日更新
特別企画「住宅ジャーナル8月号」掲載記事
    頑張れ中小工務店のリフォーム作戦・
     「当社のお客様は当社がお護りする!」・第3回
リフォーム業はお客様の住宅に関してかかりつけのお医者さんよろしく、その家の健康状況であれば手に取るように分かる存在であることが望ましい。
 住宅は自然現象からそこに住む人を護るシェルターであり、住宅そのものは絶えず自然との戦いをしており、その結果傷みや故障が発生するものである。
 新築した住宅が何の問題や故障がないまま10年も15年も存在することは考えられない。こうした傷みや故障だけでなく積極的な住宅の改修工事を住人は計画をするものである。
 そしてその計画の受け皿がリフォーム会社である。リフォーム会社というと何か工務店らしい表現とは異なるように感じられるかもしれないが、新築住宅が完成されてその住宅が建てかえられる間での間、その住宅の所有者がその住宅にかける費用一切がリフォーム需要と考えてもいいのではないだろうか。


 その住宅の維持、補修、改修をする業がリフォーム業である。建築物を対象とした業であることや、契約形態、工事の方法等を考えると工務店の行なう新築とリフォームは区別することは困難である。本来新築業、リフォーム業は同じ工務店が一体的に行っていたものである。
 なぜ一体であった業が新築業、リフォーム業と区分けされて論じられるようになったのであろうか。色々な考え方、主張があると思うが1965年(昭和40年代)以後住宅団地開発が盛んとなり、それと同時に住宅建設を産業として捉える業が台頭して、それまでの顧客と建設業の関係に変化が生じてきたからではないだろうか。


 新しく台頭してきた住宅産業の各社は、今までの建設業とは異なった住宅に関しての提案を消費者に行い、今までのシェルターとしてしか考えられてこなかった住宅に、住まい手の夢を実現するような住宅づくりを提案し始め、それが消費者に受け入れられるようになり、今日のような産業となったのではないだろうか。
 それまで圧倒的なシェアーを持っていた零細な建設業の各社はこうした時代変化に乗り遅れ、大手ハウスメーカーの下請会社となっていったところも多い。
 弱い営業力、商品開発力、経営資源どれをとっても発展するハウスメーカーに太刀打ちできるものではなかった。勿論そうした世情の中においても工務店として直接消費者から注文住宅の建設の注文を頂き、発展してきた工務店もある。
 しかし発展に発展を重ねてきた住宅業も、少子高齢化、人口、世帯数の増大の終焉、バブル経済の破綻等により、先行きの伸びが期待できず、その結果元請会社のみならず、下請会社、住宅資材設備メーカーに至るまで業態の変化をせざるをえない時代がいまである。

  (つづく)

12月8日更新
特別企画「住宅ジャーナル8月号」掲載記事
    頑張れ中小工務店のリフォーム作戦・
     「当社のお客様は当社がお護りする!」・第2回
 私は現在でもたまにリフォームをしたいという相談を受けることがある。その場合、過去にお付き合いのある工務店さんに、仕事を紹介することがある。
 紹介するくらいであるから仕事も丁寧でお客様との対応も当然良い会社である。お客様が色々相談することに対して嫌な顔ひとつしないで、それどころか「奥さん、ここにちょっとした収納スペースが取れますので造ったらいかがですか」とか「ここの床板がぎしぎし鳴っていましたので、床下から直しておきました」といった本人にすればごく当たり前の行動が、お客様に感動を与えることとなる。
 「うちに来ている大工さんは仕事が丁寧だし、嫌な顔ひとつしないで仕事をしてくれ、その上ちょっとしたスペースを有効に活用する提案燃してくれるの」といったニュースは、井戸端会議風の主婦の情報伝達手段に乗り、瞬く間に広がり、周辺の住人のリフォーム工事を受注したり、友人を紹介されたりして紹介した工務店さんは仕事が切れずにいる。

 これこそは町場の工務店の基本的な行動ではないだろうか。
 こうした工務店さんは季節の挨拶をきちんと行っており、その挨拶の際にも前述のような会話が交わされ、仕事が獲得できることとなる。
 
 リフォーム工事のうち急を要する工事以外は、住人の方はそう急いでリフォーム工事をする必要がないから、敢えて行動を起こさないことが多い。
 行動とは電話をかけたり、工務店を訪問したりといった行為である。しかし工務店さんに季節の挨拶に来られると「子供部屋を広くしたいのだけれど」とか「そろそろキッチンが古くなったので取替を考えている」とかを話すものである。

 6月号で話をした丸長産業さんのリフォーム大学の際、「やはり行動はしてみるものですね。お客様の所に行きましたら外壁の話になり、外壁の塗装工事を頂けました」といった話が出てくる。
 自社がリフォームを取扱っていることは当然のことながら自分ではわかっているが、意外にお客様は自社のリフォーム工事を取扱っていることを知っていない。
 いわばPR不足なのである。工務店さんの力量は過去に取引のあったお客様からその後も引き続き注文を頂けるかどうかによって決まる。お客様の方では今後も引続き仕事を頼もうと思っているのに、工務店の方で挨拶に伺うことをせずにご縁を切ってしまっていることが多いのではなかったか良く考えてほしい。

 今までであれば面倒なリフォーム工事をやるよりは、金額も大きい新築工事をした方が良かった。しかしこの景況停滞或いは後退は今まではといった過去への回帰を許さない状況である。極論すれば面倒くさくてもリフォーム業を無視して工務店業は維持できない状況なのである。
 取引済み顧客を大切にしていたあの時代を思い出して、お客様の所に中元の挨拶に伺いなさいという事である。
 
 この本が出るころには中元の季が過ぎていると思うが、中元は過ぎているから時期遅れだとなどとくだらない批評をする前に今なら「残暑見舞い」「残暑伺い」という名目の元に前向きに行動することを考えるべきである。
       
   つづく

11月18日更新
特別企画「住宅ジャーナル8月号」掲載記事
    頑張れ中小工務店のリフォーム作戦・
     「当社のお客様は当社がお護りする!」・第1回
 原稿を書いている時点と出版の時点がずれるので、この時期の話としては少し遅れているかもしれない。
 私は工務店さんが集まった6月から7月上旬の講演会の席で「ここにご出席の会社さんの中でお客様のお宅に中元を30軒以上もっていく会社の方、手を挙げてください」と質問すると、30%くらいしか手が挙がらないことがある。
 いや30%ならいいほうで10%から20%ぐらいの場合が多い。

 なぜこういう質問をするかというと、リフォーム業はお客様に密着した業であるから、お客様の数をできるだけ多く持たなければならない。いわばお得意様である。
 リフォーム会社で成功している会社は、お得意様の数が多く、そのお得意様から何度も何度もリフォーム工事の発注を頂くことにより安定した会社運営をしている。
 その大切なお得意様には当然季節の挨拶は行うべきであり、その挨拶のひとつが中元の挨拶なのである。勿論年末には歳暮の挨拶である。

 昔というとかなり古いような感じがするが、10年、20年前には工務店さんが中元の季節にお客様の家を訪問し、その折、名前を刷り込んだタオルを持参していたものである。
 タオルを持参し中元の挨拶に伺えば、お客様の家の中に通され、お茶を頂くことになる。
 必然的に家の話題、家族の話題となり、「そういえば、新築してからもう10年になりますね。畳の裏返しを5年前にしましたが、そろそろ畳表を替える時期になってますね。」とか「そろそろ外壁のペンキ塗りをしたほうが良いと思いますが…」とか「奥さん最近のキッチンセットをご覧になったことがありますか。キッチンのキャビネットの収納方式が開き扉ではなく、引き出し方式に変わり収納がし易く、なおかつ収納量も多くなったのですよ。たまたま新宿のショールームで新作の発表会をしていますので行きませんか。うちの家内がご案内いたしますが。」といった話題が出てくる。

 (前回工務店の奥様方がもっとご主人の仕事に関心を持ち、側面からご主人の仕事を援助することが大切であるといったが、こういう場合に役立つからである。それと同時にお客様に対する季節の挨拶の件に関しては、奥さんが配慮をすべきである。挨拶に行くにしてもお客様ごとの過去の取引状況を判断して、挨拶に伺う際に持参する中元の内容を替えるくらいの気配りをしてほしいものである。できれば挨拶もご亭主と一緒にうかがってもいいし、奥さんが単独で伺ってもいいのではないだろうか。奥さん同士で遠慮のない会話が交わせるし、前述のようなショールームへのお誘いなどは奥さんの方がスムーズにことが運ぶかもしれない。)

  つづく